バイアグラについて
世界初のED治療薬(有効成分:クエン酸シルデナフィル)
バイアグラは英国ファイザー研究所によって開発された世界初の経口ED治療薬です。1998年3月に米国FDA(食品医薬品局)から承認を受け、翌1999年3月には日本国内でも日本ファイザー社より発売されました。
当初は狭心症の治療薬として研究が進められていましたが、その過程で勃起を促す作用が偶然発見されたという興味深い経緯があります。
バイアグラの登場以前には経口のED治療薬は存在しておらず、その出現はED治療の分野においてまさに画期的な出来事となりました。
現在、バイアグラは世界120か国以上で承認され、約3,500万人の男性が使用しています。ファイザー社の資料によれば、世界では1秒間に約6錠のバイアグラが処方されていると推計されています。
バイアグラは「PDE5阻害剤」に分類される薬で、陰茎海綿体内に存在する酵素PDE5(ホスホジエステラーゼ5)の働きを抑制することにより、勃起を持続しやすくする作用を示します。
その後、同じPDE5阻害剤としてレビトラやシアリスといった薬剤も登場しましたが、バイアグラはいまなお世界で最も高い知名度と信頼を誇るED治療薬です。
服用後およそ1時間ほどで効果が現れ、約4時間持続します。ただし、性的刺激を受けたときに勃起しやすくなる薬であり、服用によって持続的に勃起したままになるわけではありません。
また、バイアグラは「精力増強剤」ではありません。陰茎海綿体に直接作用する薬であり、性欲そのものを高めるものではないため、「生活の質(QOL)を改善する治療薬」として位置づけられます。
なお、バイアグラの有効成分であるクエン酸シルデナフィルは、肺高血圧症の治療薬としても承認されており、現在ではその用途でも広く用いられています。
輸入品バイアグラについて
国内未承認の100mg製剤に注意
個人輸入によってバイアグラを入手する人も少なくありませんが、注意が必要です。日本ファイザー社の調査によると、個人輸入されたバイアグラの約8割が偽物であるという報告があります。偽造品は外見が本物とほとんど見分けがつかないほど精巧に作られており、製造元や成分の安全性が確認できないことが多く、健康被害を招くおそれがあります。
国内で承認されているバイアグラは50mg錠までですが、輸入品では100mg錠が一般的に流通しています。この100mg錠は国内で承認されていないため、医療機関で処方されたものではないと判断できます。なお、100mg錠を割って使用するケースも見られますが、国内正規品の50mg錠は割らずに服用することが推奨されています。
安心して治療を行うためには、必ず医療機関を通じて処方された正規品を使用してください。個人輸入品は品質保証がなく、万が一副作用が生じても「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となるため、十分な注意が必要です。
厚生労働省承認薬/薬価基準未収載 添付文書



